Materialism
2017
場所
韓国・ソウル
ジャンル
撮影プロジェクト
コンセプト
デジタル時代において、写真は次第に無形化し、バーチャルな存在へと変化している。私たちは写真本来の姿——イメージが物理的に感光板に焼き付けられ、時とともに変化していくその優雅さ——を忘れかけているのではないだろうか。
初期の写真技法の一つであるコロジオン・プロセスを用いた実験を通じて、単なる記録としての画像を超えた写真の可能性を再発見し、この美しい写真表現をデジタル時代に生きる人々に届けたいと考えた。
本プロジェクトは韓国・ソウルを拠点に、写真家・伊藤悠吾とのコラボレーションで実現した。約1年間にわたり、ポータブルな撮影環境を構築し、ポートレートやアート作品など多様な被写体を湿板写真で撮影した。さらに、より複雑な工程を要する乾板プロセスを用いて、ソウルの都市風景をはじめ、北京や上海などの中国都市でも撮影を行った。
コロジオン・プロセスが全盛期を迎えていた時代、東アジアの都市がこの技術で記録されることは稀だった。現代においてアクセスと技術が向上した今、伝統的な写真技法で現代都市を捉えることができる意義は大きい。
撮影活動に加え、ソウルで2回の乾板ワークショップと写真展を開催した。20名以上の参加者がワークショップに集まり、独特なポートレート撮影と現像プロセスを体験した。伝統的な写真技法の美しさと体験を通じて、その魅力をより多くの人々に知ってもらいたいと願っている。